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弁護士コラム

内藤光晴 弁護士コラム【秋と映画 さかなのこ】

先日、映画「さかなのこ」を観に行きました。
本作品はさかなクンの自伝的エッセイを原作としていて、さかなクン役(ミー坊)を女優ののん(能年玲奈)さんが演じています。

さかなクン役をのんさんが?と最初は疑問に思ったのですが、それに応えるかのように映画冒頭のスクリーンに「男か女かはどっちでもいい」と映し出されたので、自分の先入観を恥ずかしく感じると同時にこれは良い映画だと確信しました。

作中、印象深いシーンはたくさんあったのですが、特に忘れられないのが高校卒業後の進路を相談する三者面談で先生から「もうちょっと勉強をさせてください」と言われたミー坊のお母さんが「いいじゃないですか この子はお魚が好きで お魚の絵を描いて それでいいんです」と言い返すシーンです。
中々言えない言葉ですよね。

子供のそのままを受け入れて、好きな事を好きなだけやらせてあげる。
これは子供を信頼しつつ他人として尊重してあげない限り出来ない事です。
私なんてどうしても自分の子だからと自分が責任を取ろうとして子供の選択に「本当に?本当にその道でいいの?」とついつい舵をとってしまいがちです。

自分で選ばせ、その責任も自分で取らせる。甘いようで実は厳しいミー坊のお母さんの懐の深さに、到底敵わないと感じました。

お母さんに「広い海に出てごらんなさい」と言われたミー坊(さかなクン)は自分の好きなことをやり続け、やりたかった事を仕事にし、「好きなことをやっていたら、気付いたらここにいました」と言います。

簡単そうに言いますがその道のりの難しさと尊さを想うと胸がいっぱいになり、久々に良い映画を観たなあと清々しい気持ちで帰途につきました。

秋と映画はよく合います。

令和4年11月8日
弁護士 内藤 光晴

(2022-11-09)