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弁護士コラム

加藤弁護士 一日日記【ウクライナに平和を(その5)】:「戦後」を考える


【ウクライナに平和を(その5):「戦後」を考える】
2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻から5か月が経過した。ゼレンスキー大統領は30日、戦闘の激化が見込まれる東部ドネツク州の数十万人に上る住民に対し、「強制避難命令」を出した。
その理由としてロシア軍の破壊によりガス供給ができないと説明し、暖房が必要となる9月以降も戦闘が続くことを暗示している。
一方、ロシアは制圧したとする東部ドンバス地域(ドネツク・ルガンスク両州)及び南部ヘルソン・ザポロジエ両州でロシア併合に関する住民投票を9月15日までに行うことを計画しているという。(中日新聞:8月1日記事)
ロシア侵攻は新たなる局面を迎えようとしているがゼレンスキー大統領がかって言っていたように年末までが勝負を決する期間ではないか。
第2次世界大戦は、ヒトラーの死と広島・長崎への原爆投下によって決せられた。ロシアのウクライナ侵攻はどのような形で決着がつくのであろうか。
どの様な形であれ、1945年から始まった「戦後」はご破算となり、新しい「戦後」が始まることとなるのではないか。
第2次世界大戦後の「戦後」は5大戦勝国によって国際連合が形成され、拒否権付きの常任理事国制度が成立してきた。
しかし、その制度は機能不全に陥り、ロシアの暴走に繋がった。新しい「戦後」はロシアをどう扱うかが焦点となろう。その際、ロシアに拒否権付きの常任理事国の地位を与えることは国際社会が同意しないであろう。
1945年以来、敗戦国として扱われて来た「ドイツ・日本」が新たなる世界秩序の担い手として登場すべき時だ。覚悟の時だ。
7月10日の参議院選挙は誰もが想定もしなかった安倍元総理の殺害事件で混乱した。
大方の国民は不安定化することを恐れ、与党に勝利を与えた。予想された維新の躍進はほどほどの所に止まった。
これから3年間が我が国の正念場かも知れない。安倍元総理の遺志を実現しようとする勢力が国政をリードすることが想定されるが理性的な議論が必要だ。
コロナ感染が拡大し、止まる様子がないことも懸念材料だ。8月15日のお盆に時期がどのようになっているのか。政府には人の流れを止める材料がない。

令和4年8月1日
                        弁護士 加 藤 謙 一

(2022-08-01)